JCCP 一般財団法人 JCCP国際石油・ガス・持続可能エネルギー協力機関

2017年度事業総括

 平成29年度事業は、国庫補助事業予算が前年度比16%と大幅に削減された中、順調に実施され当初の数量的目標を達成した。

 事業実施方針としては、従来の石油の安定供給に資することに加え、我が国石油産業の競争力強化のための製品輸出拡大や海外事業展開の支援が挙げられたが、これは企業の海外展開の主要先である東南アジア諸国関連の研修生人数割合(H28:31% → H29:33%)や技術協力案件割合の増加(H28:20% → H29:30%)という形で具体化した。

 また事業の発展・評価向上に向けての取組みとして、権益延長の基盤支援のためにUAEアブダビにおいて産油国ネットワーク会議(同窓会)を開催すると共に、UAE / ADNOCの要請による女性のキャリア開発に向けた研修コースを実施した他、人材育成事業の高度化のためケースメソッドの導入や産油国との教材の共同開発等を開始した。さらに第36回国際シンポジウムを東京にて開催することにより、産油国側の総合的な事業評価を確認することが出来た。

 各事業の詳細は以下の通りである。

人材育成事業

1.事業報告

 直轄受入研修では、レギュラーコースとして、戦略・マーケティング、プロジェクト管理4コース、人材・財務会計・物流関係4コース、環境・新エネ・省エネ2コース、安全管理1コース、プロセス・発電技術3コース、メンテナンス5コース及び計装制御2コースの計21コースを実施した。

 また、中東産油国、東南アジア諸国及び新しいエネルギー供給源になることが期待される産油国に対して、相手国からの個別の要請に基づき特定テーマの特別研修を実施してきたが、平成29年度につき、受入れはサウジアラビア、カタール、UAE、クウェート、ベトナム、ミャンマー等を対象に6コース、派遣はUAE、カタール、インドネシア、ミャンマー等に4コースを実施した。

 直轄受入研修、企業協力研修と併せ、参加した研修生455名を受け入れた(事業計画:430名)。直轄受入研修のコース別実績は、下記の事業実績一覧に記載のとおりであ

る。なお、上級管理職(幹部候補生)向けの戦略マネジメントコースを平成26年度から4年続けて実施し、評価されている。平成29年度は、技術系幹部候補コース(製油所・技術マネジメント)、技術系若手リーダーコース(製油所新設・高度化計画)を新規に実施し好評を得た。

 研究者交流事業は、産油・産ガス国と日本の相互で研究者の派遣・受入を行うことで、将来、石油産業下流分野に活かされる先端技術開発に携わる研究者の育成を狙いとして実施している。平成29年度は、研究者派遣事業として、昨年同様、サウジアラビア(キングファハド石油鉱物資源大学)とクウェート(クウェート科学研究所)にそれぞれ1名延べ3か月派遣、また、研究者受入事業として、サウジアラビア(サウジアラムコ)、UAE、イラン(イラン国営石油精製販売会社)及び、ベトナム(ベトナム石油研究所)から各1名延べ1~2か月間、石油会社研究所及び大学等の研究機関に受け入れた。

人材育成1 閉講式会場にて

人材育成2 ワークショップ

人材育成3 フィールドトリップ

人材育成4 ワークショップ

2. 事業実績

3. ニュース記事から

技術協力事業

1.事業報告

【基盤整備事業】

 産油・産ガス国の石油産業下流分野等が抱える技術的課題の解決を支援するため、基盤整備事業として、わが国の技術・ノウハウの移転および産油国と共同で技術開発等を実施している。平成29年度は基盤整備事業として以下3段

階に分け、テーマの探索(基礎調査事業)として3か国3件、実現性の確認(支援化確認事業)として7か国8件(事業計画:5件)、産油国側との共同プロジェクトの実施(共同事業)として11か国19件(事業計画どおり)を、それぞれの段階で妥当性を確認しながら実施した。

 なお、平成29年度事業の特記としては、事業実施協定を5件締結し新たな共同事業をスタートしたこと及び、わが

国石油産業等の海外進出を反映しアジアを対象としたプロジェクト数が従来の2割弱から3割に増えたことである。

技術協力2 製油所信頼性向上事業視察

技術協力1 事業実施協定書(MOA)の署名式

2. 事業実績

連携促進事業

1. 事業報告

 連携促進事業は各種国際会議の開催等により情報交流や人的関係を促進強化する活動です。

 平成30年1月第36回国際シンポジウム『進展する石油企業改革-課題と将来-』を開催し、産油・産ガス国から16名の基調講演者及び各セッションの講演者を東京に招き、約360名の会場参加者との間で情報交流を行いました。

 テーマ別合同シンポジウムは、各国・各機関からの要請を受けて相手国あるいは日本で共同開催し、日本の先進技術や研究成果等を広く内外に知らしめるとともに、相手国との情報の交流を行うものです。

 平成29年9月サウジアラムコ-JCCP共催のシンポジウム『THE GLOBAL PERSPECTIVE OF THE HYDROGEN ECONOMY』を東京で開催し、登壇者21名(うち、サウジ側5名)、約130名が会場参加し、水素社会に向けて、CCSを含めた水素の製造から移送、需要全体を俯瞰して情報交流を行いました。

 平成29年11月ADNOC-JCCP共催水資源ワークショップ『水資源管理』をアブダビのアブダビ国営石油会社SKECオーディトリアムで開催し、22講演中、日本から9名が参加、約100名の会場参加があり、水管理、海水淡水化、排水処理、再利用、随伴水処理に関する情報交流を行いました。

 平成29年11月第27回日本サウジアラビア合同シンポジウム『石油精製および石油化学産業における技術』(サウジアラムコ、キングファハド石油鉱物資源大学、石油学会、JCCPの共催)をサウジアラビアのキングファハド石油鉱物資源大学の講堂で開催し、20講演中、日本から6名が参加、約100名の会場参加者との間で技術に関する意見交換がなされました。今回は女性7名の参加者があり、1992年のシンポジウム開始から初めての出来事でした。

 平成30年2月第18回日本-クウェート合同シンポジウム『石油精製および石油化学産業における技術』(クウェート科学研究所、クウェート国営石油精製会社、石油学会、

JCCPの共催)をクウェート科学研究所の石油研究センター講堂で開催し、23講演中、日本から6名が参加、約100名の会場参加者との間で技術に関する意見交換がなされました。

 平成29年4月第5回女性のキャリア開発に向けた友好委員会をアブダビにて開催し、日本から12名の女性委員、アブダビ国営石油会社グループから15名の女性委員が参加し、パネルディスカッション、ワークショップ、報告会を行いました。

 産油国ネットワーク会議(同窓会)は、開催国を選定し、人材育成事業及び技術協力事業等に参加した相手国の人が集い、意見交換を通してJCCPの活動の充実を図るとともに、人的関係の維持、強化を図るものです。

 平成29年10月第5回産油国ネットワーク会議(同窓会。対アブダビとして第3回)を開催した。今回は、JOGMECと共同で開催し、研修卒業生他約200名に加え相手国と日本の関係者を含めて総勢300名以上が参加し、今まで実施してきた事業への相手国の感謝と両国間の良好な関係を確認しあいました。

連携促進1
サウジアラムコ-JCCP共催シンポジウム

連携促進2
第36回JCCP国際シンポジウム

2. 事業実績

海外事務所から

 JCCPでは、サウジアラビア国のアル・コバールとUAE国のアブダビに海外事務所を配置しています。尚、アル・コバール事務所は、2016年3月にそれまでリヤドにあった事務所を移転致しました。

 各事業所の中東担当国は、アル・コバール事務所がサウジアラビア・クウェート・イラク・バーレーン、アブダビ事務所がUAE・カタール・オマーン・イランとなっています。

 海外事務所の主な業務としては、上記担当国における各事業の現地支援、情報収集などを行っています。

 JCCP設立以来、中東産油国の国営石油会社等と、人材育成及び技術協力事業、連携促進事業を通して築いてきたネットワークを生かし、中東産油国の石油ダウンストリームに於いて既に事業展開を行っております。またこれから図ろうとしている日系企業と協働して、新たな関係構築のため新規事業の開始、ワークショップ等を実施する支援も行っています。

アルコバール事務所1
アルコバール事務所所在ビル

アルコバール事務所2
アルコバール事務所

アルコバール事務所3
アルコバール事務所

中東事務所1
中東事務所所在ビル

中東事務所2
中東事務所