JCCP 一般財団法人 JCCP国際石油・ガス・持続可能エネルギー協力機関

2018年度事業総括

 平成30年度事業は、ほぼ前年度並みの国庫補助事業予算の下、順調に実施され、当初の事業計画における数量的目標を達成した。

 事業実施の基本方針として前年度に引き続き、従来の石油の安定供給に資することに加え、我が国石油産業の競争力強化のための製品輸出拡大や海外事業展開の支援を掲げてきた。これに基づき日本企業より要請のあったフィリピンやモザンビークへの協力案件を新規に実施した。また、LNG関連における協力案件の掘り起こしも基本方針とし、

 研修コースへのLNG関連カリキュラムの導入や技術協力事業での基礎調査(インドネシア、ガイアナ、モザンビーク)を実施した。

 事連携促進事業では、第37回国際シンポジウムを開催し、11ヵ国13名のパネリストがテーマに沿った講演を行い、活発な意見交換がなされた。本年度は「女性のキャリア開発友好委員会」をこのシンポジウム中に組み込むことにより、一層の議論の深化と産油国側の評価を得ることが出来た。

 各事業の詳細は以下の通りである。

人材育成事業

1. 事業報告

 直直轄受入研修では、レギュラーコースとして、戦略・プロジェクト管理、マーケティング・物流5コース、人材・財務会計関係3コース、環境・新エネ・省エネ2コース、品質管理1コース、プロセス・発電技術3コース、メンテナンス5コース及び計装制御2コースの計21コースを実施した。

 また、中東産油国、東南アジア諸国及び新しいエネルギー供給源になることが期待される産油国に対して、相手国からの個別の要請に基づきカスタマイズド研修を実施してきた。平成30年度は、受入れをサウジアラビア、カタール、UAE、クウェート、ベトナム、ミャンマー等を対象に5コース、派遣はカタール、インドネシア、ミャンマー2件の合計4コースを実施した。

 直轄受入研修299名と企業協力研修154名を併せ、参加した研修生453名を受け入れた。直轄受入研修のコース別実績は、以下2.事業実績にある記事のとおりである。なお、JCCPが設立された1981年以来、平成30年度末にて

累積24,969名の研修生を受け入れた。新年度早々4月の直轄コースにて、研修生受入25,000名を達成する見込みである。

 研究者交流事業は、産油・産ガス国と日本の相互で研究者の派遣・受入を行うことで、将来、石油産業下流分野に活かされる先端技術開発に携わる研究者の育成を狙いとして実施している。平成30年度は、研究者派遣事業として、昨年同様、サウジアラビア(キングファハド石油鉱物資源大学)とクウェート(クウェート科学研究所)にそれぞれ1名延べ3か月派遣した。さらに、石油学会委託事業として、サウジアラビア(サウジアラムコ)、UAE(ADNOC石油精製リサーチセンター)、イラク(イラク石油省石油研究開発センター)及び、ベトナム(ベトナム石油研究所)から各1名延べ1~2か月間、石油会社研究所及び大学等の研究機関に受け入れると共に、サウジアラムコの要請に基づき、トライアルとして研究者1名を共同研究のため延べ100日派遣した。

人材育成1 シミュレーター研修

人材育成2 ワークショップ

人材育成3 実地研修(移動中)

人材育成4 フィールドトリップ

2. 事業実績

3. ニュース記事から

技術協力事業

1. 事業報告

 産油・産ガス国の石油産業下流分野等が抱える技術的課題の解決を支援するため、基盤整備事業として、わが国の技術・ノウハウの移転および産油国と共同で技術開発等を実施している。平成30年度は基盤整備事業として以下3段階に分け、事業課題の抽出(基礎調査事業)として6か国9件

事業の実現性の確認(支援化確認事業)として5か国6件、産油国側との共同プロジェクト(共同事業)として9か国18件を、それぞれの段階で妥当性を確認しながら実施した。しかし、共同事業のうちイラン2案件については、米国のイラン制裁により十分な活動ができなかった。

 平成30年度事業の特記としては、事業実施協定を5件締結し新たな共同事業をスタートしたこと及び、産油国からの直接要請による4件の事業(うち1件が技術協力事業として初の事業)に着手したことである。また、今年度、

サウジアラムコ操業部門(DR&NGLF)と「現地シンポジウム」やサウジアラムコと日本の石油会社の若手エンジニアによる「製油所課題解決事業」を通し、同部門との関係を構築できたことは大きな成果であった。

技術協力1 LNG案件基礎調査(ワークショップ)

技術協力2 事業実施協定書(MOA)の調印式

技術協力3 現地調査

2. 事業実績

連携促進事業

1. 事業報告

 連携促進事業は各種国際会議の開催等により情報交流や人的関係を促進強化する活動です。

 平成31年1月第37回国際シンポジウム『石油ガス産業における新展開-事業革新と高付加価値化-』を開催し、産油・産ガス国から13名の講演者を東京に招き、約380名の会場参加者との間で情報交流を行いました。これまで国際シンポジウムとは別に開催してきた女性のキャリア開発に

向けた友好委員会を今年度は国際シンポジウムの中で女性活躍や多様性、働き方改革に関するセッションを設けて第8回として開催、湾岸諸国と日本の女性や人事担当者にも参加してもらいました。

 テーマ別合同シンポジウムは、各国・各機関からの要請を受けて相手国あるいは日本で共同開催し、日本の先進技術や研究成果等を広く内外に知らしめるとともに、相手国

                

との情報の交流を行うものです。その結果として、相手国と日本との間での新たなコラボレーションが行われる契機にもなっています。

 平成30年4月JCCP-サウジアラムコ 省エネ・環境シンポジウムをアラムコ・ラスタヌラのリーダーシップ・センターで開催し、35講演中、日本から11名が参加、約300名の会場参加があり、環境対応燃料品質、省エネ、製油所アップグレーディング、排水処理/再利用、漏洩監視、省エネ型海水淡水化、環境管理等、環境に関連する幅広い分野に関する情報交流を行いました。

 平成30年5月第7回女性のキャリア開発に向けた友好委員会をアブダビにて開催し、日本から7名の女性委員、アブダビ国営石油会社グループから19名の女性委員が参加し、

パネルディスカッション、ワークショップ、報告会を行いました。

 平成30年11月第28回日本サウジアラビア合同シンポジウム『石油精製および石油化学産業における技術』(サウジアラムコ、キングファハド石油鉱物資源大学、石油学会、JCCPの共催)をサウジアラビアのキングファハド石油鉱物資源大学構内のテクノ・バレーで開催し、24講演中、日本から5名が参加、約130名の会場参加者との間で技術に関する意見交換がなされました。

 平成31年3月第3回OAPECカンファレンス『石油ダウンストリーム産業のパフォーマンス向上』クウェート市内のホテルで開催し、18講演中、日本から5名が参加、約100名の会場参加者との間で技術に関する意見交換がなされました。

連携促進1 第37回JCCP国際シンポジウム

連携促進2 第7回女性のキャリア開発に向けた友好委員会

連携促進3 第3回OAPEC技術コンファレンス

連携促進4 第28回日本サウジアラビア合同シンポジウム

2. 事業実績

海外事務所から

  JCCPでは、サウジアラビア王国のアル・コバールとアラブ首長国連邦のアブダビに海外事務所を配置しています。各事業所の中東担当国は、アル・コバール事務所がサウジアラビア・クウェート・イラク・バーレーン、アブダビ事務所がUAE・カタール・オマーン・イランとなっています。

 海外事務所の主な業務としては、上記担当国における各事業をスムーズにかつ安全に実施すべく、現地での各種支援、情報収集などを行っています。JCCP設立以来、中東産油国の国営石油会社等と、人材育成及び技術協力事業、

連携促進事業を通して築いてきたネットワークを生かし、中東産油国の石油ダウンストリームに於いて日系企業の事業展開の支援を行っております。またこれから事業展開を図ろうとしている日系企業とも協働して、新たな関係構築のため新規事業の検討、ワークショップ等を実施する支援も行っています。

 昨年は新たな試みとして、両事務所が協力して、サウジアラムコと実施した環境・省エネのシンポジウム(4月25-26日)に、現地日系企業 (在UAE及びサウジアラビア) にもご参加頂き、各企業の技術紹介のための展示会を企画、実施致しました。

海外事務所1 サウジアラムコ-JCCP 省エネ・環境シンポジウム(関連技術の紹介会場

海外事務所2 アルコバール事務所

海外事務所3 サウジアラムコ-JCCP 省エネ・環境シンポジウム(関連技術の紹介会場)"

海外事務所4 中東事務所